こんにちは。AIキャリアシミュレーションアプリVIEWのメディア担当の安達です。
本日は昭和音大を卒業後、就職はせずにサックス奏者として活躍されている馬越脇さんにお話を伺ってきました。
日々演奏活動で多忙を極める馬越脇さんですが、『休日が待ち遠しいとは思わない』と語る彼はどのような想いで音楽の道へと歩みを進めたのでしょうか。
――――自己紹介をお願いします
馬越脇 崚(まごえわき りょう)と申します。
自己紹介がちょっと難しいのですが…
昭和音大を卒業後、就職はせずサックス奏者として活動しています。
日々の活動としては舞台で演奏したり、個人の方にレッスンをしたり、基本的には毎日音楽に関する仕事をしています。
――――サックス奏者としてどのような活動をされているのか教えて下さい
舞台やイベントでの演奏活動をはじめ、個人の方のレッスンや学校の吹奏楽部の指導を行っています。
舞台に関してお話をすると、直近で演奏したものは少し特殊だったのですが、お客様から見える舞台上で劇中の曲を演奏しました。
イベントというのはイルミネーションイベントや町のお祭、その他には結婚式場で演奏をしたりしています。
あとはワインバーでの少人数の演奏もありますが、オーケストラで演奏したり、本当に様々な場所で演奏しています。
――――そういった演奏の機会はどのように獲得されるのでしょうか?
色々あるのですが、基本的には人の繋がりです。
例外としては個人レッスンとブライダル関連ですね。個人レッスンは音楽教室やネット経由で依頼を頂くケースもありますし、ブライダルに関しては所属事務所からの依頼になります。事務所というのは専属ではありませんが、ブライダルも経験してみたいと思い、一社だけ事務所に登録しています。
他にも企業のパーティに呼んで頂くこともあるのですが、知り合いの知り合いがその企業の関係者、というような形でやはり人の繋がりがメインになります。
継続することで人との繋がりが大きくなる
――――卒業してすぐにそういった演奏する機会があったのでしょうか?
最初の頃は演奏の機会は本当に少なかったです。
卒業後の最初の1年間は自分でどれだけ出来るかを試してみたくて、バイトはしなかったんです。そしたら意外ときつかった(笑)
ですので2年目から洗車のバイトを始めました。その頃からネット経由で今も続けている個人レッスンを始めました。
その後はご依頼頂いた案件を全て受けていたら、一生懸命やった積み重ねが効いてきたのか、様々な方面からお声がけ頂けるようになってきて、3年目は殆どバイトはやっていませんでした。
ただ、そもそも車が好きでしたので洗車のバイトは月に1回、顔を出す程度ではやっていました(笑)
この時期からはありがたいことに、音楽だけでご飯を食べているというような状況になりました。
今でも、単価の高い案件を一度やって単発で終わってしまうよりも、コツコツと人との繋がりを大事にしながら活動していくことが大切だと考えています。『継続は力なり』ではないですが、こういった継続が徐々に人との繋がりを大きくしていくんです。
――――音楽だけでご飯を食べているということは、馬越脇さんはいわゆるプロなのでしょうか?
音楽の世界にはプロという資格はないので、プロだと名乗ってしまえばプロですね(笑)
ただ僕よりも技術力も表現力も上のレベルの方は沢山いるので、肩書きを付けるとしたらプロというよりも演奏家という肩書きの方がしっくりきますね。
――――やはり毎日演奏活動でお忙しいのでしょうか?
ありがたいことに月初には翌月のスケジュールが半分以上埋まっているような状況です。
ただ今後の課題としては、演奏家としての案件単価を上げていくというところです。
楽器の演奏というのは、値段が明確に定められているようなものではないんです。例えば、同じ曲を演奏したとしても演奏家によって単価が違うなんてこともザラなんです。
ですので、自分の技術や実績なども加味しながらお客さんと交渉していくという形になります。ただ、この単価の設定というのも全て自分で行う事になりますので、とても難しいところでありますね。
案件単価を上げるというのは、もちろん僕の生活の為という理由もあるのですが、単価を上げることで演奏に呼んで頂ける場の幅も広がっていくんです。そうすることで僕の演奏をより沢山の人に届けることが出来るので、やはりやりがいを感じますね。
【演奏する馬越脇さん】
――――音楽やサックスに興味を持ったきっかけを教えてください
幼稚園の時に友達がピアノをやると言ったのでそれに釣られてピアノを始めたのがきっかけでした。
ただサックスとの出会いは実は偶然なんです。
小学4年生の時にトロンボーンという楽器に興味を持ち、地元の子供向けオーケストラに入りました。ただ、当時歯の矯正をしていた為トロンボーンではなくサックスになってしまったんです(笑)
ただ、意外と楽しかったのでそのまま中学、高校と吹奏楽部で続けました。
――――中学、高校時代は音楽漬けの生活だったのでしょうか?
勿論吹奏楽部での活動は頑張っていましたが、勉強も頑張っていました。
自分で言うのも微妙ですが、高校受験のタイミングには偏差値は70を超えていて、大学受験のタイミングでも偏差値60後半はあったと思います。
――――勉強も好きだったのでしょうか?
小学校の頃から、勉強というものがゲームの『レベル上げ』のような感覚だったので嫌いではありませんでした。
ただ、勉強している内容そのものには全く興味がなかったので、テストで点数を取ることだけを楽しんでいた、という感じでした。
――――楽しんでいたということは、中学・高校の学業成績はよかったのでしょうか?
それで言えば高校受験のタイミングまでは平均よりも少し良かったかな、位のレベルだったと記憶しています。
レベル上げの感覚で楽しんでいたけれども好きではなかった(笑)
ただ、高校受験の時期に先輩が通っていた立川高校という都立高校の文化祭に呼んで頂いたんです。そこでの吹奏楽部の演奏会がとにかく格好良くて、この高校に入りたいと思ったんです。
ただ蓋を開けてみたら偏差値が全然足りてない。そこから勉強に熱中してしまった感じです。なんというか、『あとどの位レベルを上げたら合格圏内なのかな?』というような感覚でしたね。
その当時は、勉強が好きでしたし、模試も好きでした。
本当にアホな話ですが、志望校の欄に女子大を記載してみて判定不能で返ってくるのを見て、『いくらレベルを上げても届かない世界はあるんだなー』って笑ってました(笑)
ただ、無事行きたかった高校に入学した後も、大学受験のタイミングまではずっと勉強は継続して、なんとか偏差値は維持していましたね。
このまま終わるのは嫌だ
――――偏差値を維持していたということは偏差値70程かと思うのですが、一般大学ではなく音大への進学を決めたのは何がきっかけだったのでしょうか?
きっかけは大きく2つです。
高校二年の夏に吹奏楽の大会があったのですが、吹奏楽部の創設以来取ったことがないような悪い成績だったんです。
そこで『このまま終わるのは嫌だ』と思ったのがまず一つ。
もう一つは、音楽というのは正解がない、いわゆる芸術の世界なんです。ただそこで無謀にも『自分が音楽を極めたら正解が分かるんじゃないか』と考え始めたんです。
正解を知りたすぎて…専門的に学びたくなってしまった、というのが2つ目です。
普通の道から逸れる不安
――――音大に進学することを決めた時の心境を教えて頂けますか?
周囲の友人は国立大学、早慶、MARCHのような有名大学に進学していて、そういう人達を見ると正直不安しかなかったです。
一般大学に進まないことへの不安というより、取り残されているというか…普通の道から逸れているんじゃないか、という不安がありました。
『音楽に興味があるというのも自分への言い訳なんじゃないか』とも悩んでいました。それでも尚、音楽への興味の方が強かったので音大への受験を決心しました
ただ、その後浪人してしまったんです。浪人が決まったタイミングでこの不安がピークに達して、ニートになってしまうかもしれないとも考えていましたね。
ですので、浪人の時期は人と会っていなかった。
ただ師事していた師匠が講師をやっている音大への合格が決まったのですごく安心しましたね。
――――音大を卒業される方はどういった所に就職されるのでしょうか?
まず、音大を卒業するタイミングで就職をする方が9割くらいなんです。
彼等の就職先としては楽器屋が多いと思います。やはり音大で得た知識と経験を活かせますし、楽器店で正社員として楽器の講師をやる方も多いですね。
あとは音楽の先生も多いです。その方達はもともと先生になりたくて音大で学んでいる方が多かったです。
就職をしない残りの1割の中の一部が音楽の道に進んでいく、いわゆる演奏とかで食べていこうとする人達ですね。
――――馬越脇さんは音大を卒業するタイミングで就職の道は考えなかったのでしょうか?
正直考えましたね。
ただ両親が「やれるだけやってみなさい」と言ってくれたので今の道に進む決心が出来ました。
実は両親に音大に進みたいという相談をした時は少し反対されました。ですので、ちょっと無理を言って入学させてもらった感じだったんです。
ただ音大を卒業しただけでは僕自身は何も変わらなくて、なんというか大袈裟ですが音楽の深淵は覗けなかった。
大学というのは学校である以上、テストの結果で演奏出来る舞台が決まったりするので、正直入学前に想像していたのとは違いましたね。
むしろ卒業してからが自分が求めていたところを知っていく道だと思っています。なので、今は本当に心から音楽に向き合っているという感じがしています。
なぜ自分がここに呼ばれたのか
――――大学を卒業してから、音楽に関する考え方が変わったのでしょうか?
変わりましたね。
学生の時は『こうしなければならない』というルールみたいなものがあったのですが、今は無い状況なんです。
ちょっと前までは技術だけを磨こうとしていましたが、今は『目の前の人にどれだけ伝えられるのか』を意識しています。
分かり易い所で言えばお客様の反応。
お店やお客様の雰囲気など、その場で何が必要なのかを反射的に考えて、感じて『なぜ自分がここに呼ばれたのか』をしっかりと考えなければならないのがすごく難しくて、ただここが面白いところでもあります。
『必要な時に必要な形になれる』といったような柔軟性が求められるのが演奏家の世界です。
僕はこれが凄く好きで、求められる物に近づけるだけ近づきたい。
なので実は今はサックスの他にもハーモニカとかオカリナなど、扱う楽器も増えてきているんです。
音楽を聴いた時の『楽しい』を広げる
――――今後の演奏家としての方針などは決まっているのでしょうか?
そこがちょっと難しいところで、今後の方針や目標は明確にあるわけではないんです。
今はありがたいことに舞台などの色々な演奏の場に呼んで頂けていて、触れるもの全てが新鮮なんです。なので、このままもっと出来ることを増やしていきたいと考えています。
先程お話した『レベル上げ』の感覚に近いのですが、聞いてくれるお客さんが喜んでくれたりとか、聞いてて楽しいとか、感動する度合いを上げていきたいです。
個人レッスンであれば、より高い技術を教えてあげられるような指導をしたいですし、やはり音楽というのはすごく楽しいので、この『楽しい』という感情を色々な人に広げていきたいです。
なので、『あの舞台に立ちたい』というよりは、とにかく今目の前の人達の期待に応えていきたいという気持ちが強いです。
――――VIEWをやってみていかがでしたか?
僕のような職業が特殊な人間でも結果が出てくるのは驚きましたし、ゲームみたいで面白いですね。
あとは、表示された業界が全て人の生活に関わるようなものなのにも驚きました。
本日お話させて頂いた通り、僕は『目の前の人の期待に応える』というのを大切にしているので、そういった意味では表示された仕事に適性があるのかもしれませんね。
3位のアパレルに関して言えば、学生時代バイトしていた程なので今でも好きですしね。
VIEWはゲームみたいにサクッと出来るので悩んでいる方もそうでない方も、健康診断みたいな感じでやってみたら良いと思います。
休日が待ち遠しいとは思わない
――――やりたい事がありながらも一歩踏み出せない方に対して一言お願いします
今僕は日々が凄く充実していますし、やりがいがあるというか、やりがいしかないんです。
大変だし緊張もするし失敗もするけど、休日が待ち遠しいとは思わないんです。
休みを取って遊びたいかって言われても、そうでもないんです。
やりたい仕事をやっていないと、休み明けが憂鬱だったりするかと思うのですが、そういうのって辛そうだなって思うんです。
長い人生、働いている時間の方が長いので…つまり辛い時間の方が長いわけですよね。
やりたいことあるんだったら、やってみた方が良いと思います。
僕もまだまだこれからですけども、努力を続ければきっと活路を見出せる気がします。
――――VIEWとは
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自分に合うキャリアの選択肢を知ったうえで、理想の転職への一歩を踏み出す事ができます。